鍼灸について
鍼灸の起源は紀元前2000年頃の古代中国。
現在では、鍼灸の効果に関して
世界保健機構(WHO)、アメリカ国立衛生研究所(NIH)などの
公的機関が研究を進め、科学的根拠を認める見解を発表し
様々な疾患や症状に関する有効性を認めています。
鍼灸が身体にもたらす作用
<自律神経のバランスをととのえる>
リラックス効果のあるセロトニンなどの
ホルモン分泌を促進し、
自律神経のバランスを整え
ストレス性の症状を緩和させ、精神を安定させていきます。
<内臓機能をととのえる>
自律神経は内臓機能をコントロールしているので、
自律神経のバランスが整うと
内臓機能の改善につながります。
<痛みを緩和させる>
鍼の刺激によって、脳内にモルヒネのような
鎮痛物質が産生されます。
また、痛みを脳に伝える神経をブロックする作用が働き
痛みを緩和させます。
<身体をゆるめる>
鍼の刺激やお灸の熱刺激は、
血流やリンパの流れを良くするので、
硬くなっている筋肉の緊張を緩めます。
<免疫機能を高める>
鍼灸の刺激によって、
ウイルスや病原菌などを見つけて退治する
白血球やリンパ球が増加することで、
免疫力が高まります。
血流を促進させ、傷ついた部分を修復し、
疲労物質の排出を促します。
<美肌をつくる>
皮下組織を刺激することで、お肌の土台となる
コラーゲンやエラスチンを生み出す細胞
(線維芽細胞)を活性化させ、
コラーゲンやエラスチンの産生が活発になり、
新陳代謝を促します。
その結果、肌はみずみずしく潤い、弾力が高まり、
シワやたるみの改善や予防につながります。
また、血流が促進され、肌のくすみを改善していきます。
WHOが認める鍼灸の適応症
運動器系:関節炎、リウマチ、肩こり、腰痛、腱鞘炎、
むちうち、捻挫など
神経系 :頭痛、めまい、神経痛、自律神経失調症、不眠、
ノイローゼなど
循環器系:動悸、息切れ、高血圧症、低血圧症、
動脈硬化症、心臓神経症など
呼吸器系:気管支喘息、過呼吸症候群、気管支炎、
風邪および予防など
消化器系:便秘、下痢、胃炎、過敏性腸症候群、
肝機能障害、痔疾など
代謝内分泌系:貧血、痛風、糖尿病、甲状腺機能異常など
生殖・泌尿器系:膀胱炎、腎炎、性機能障害など
婦人科系:生理痛、月経不順、更年期障害、冷え性、不妊、
乳腺炎など
小児科系:小児喘息、夜尿症、小児神経症(夜泣き、
かんむし、偏食など)アレルギー性湿疹など
耳鼻咽喉科系:中耳炎、耳鳴り、メニエール病、鼻炎、
咽頭炎、扁桃炎など
眼科系:眼精疲労、結膜炎、仮性近視、疲れ目、かすみ目、
ものもらいなど
「鍼」治療には種類がたくさん
紀元前の古代中国から始まった「鍼」は、
四千年もの長い時間をかけて、
世界各地に広がり、発展をしていきました。
そして、現在ではWHOやNIHなどの公的機関で検証され、
運動器系・神経系・内臓疾患系・自律神経系など
様々な分野で医学的治療の有効性が認められ、
補完代替医療の有力な治療法として定着されつつあります。
世界各地に広がり発展していく中で、
身体に出てくる症状に対しての
「鍼」の治療の仕方も多彩になっていきました。
古典的な医学文書に基づく東洋医学的観点治療法から、
現代医学に基礎を置く治療法まで、
本当に幅広い方法があります。
そして、東洋医学的観点治療法と現代医学的観点治療法は、
各々がさらに様々に細分化されており、
それぞれに理論体系を持っています。
そのため治療法は無数にあります。
鍼治療の方法は施術者の数だけある
と言っても過言ではありません。
私は、鍼治療を、よく山登りに例えます。
山の頂上を目指すとき、麓から頂上までの道のりは、
一つだけではなく様々あります。
ごつごつした岩だらけのコースもあれば、
なだらかな道のりをゆっくりと時間をかけて登るコース、
急勾配のショートカットコースなど
選択肢はたくさんあります。
鍼治療も同じです。
身体を整えるという同じ頂上を目指すのに
アプローチの方法はいろいろあります。
具体的には、鍼を刺入する深さが
皮膚・皮下組織・筋膜などを通過させる深いものあれば、
鍼先を皮膚表面に接触させるだけのものもあります。
鍼を刺入してすぐに抜くものもあれば、
しばらくそのままにしておく(置鍼)もの、
刺入した鍼に電気刺激を加えるものなどもあります。
鍼の大きさも直径がおよそ0.10〜0.30mm、
長さがおよそ15〜80mmの範囲と幅広く、
様々な種類の鍼があります。
「鍼治療」と一口に言っても、
本当にいろいろな方法があります。
五万とある治療法の中の
どれか一つだけが正解というわけではありません。
どの方法も皆「鍼治療」です。
どの方法を取るかは選択肢のうちの一つに過ぎません。
「身体を整える」という最終目的地、到達点は
どれも同じものなのだろうと私は捉えています。
やはり、人には好みがありますので、
治療を受ける側はいろいろな方法を試してみて、
自分にしっくりくる治療法を選んで
受けるのが良いと思います。