疝癪(せんしゃく)とは?東洋医学で見る心とからだの詰まり

東洋医学

こんにちは tete la です。

「疝癪(せんしゃく)」という言葉、耳にしたことはありますか?

疝癪(せんしゃく)って何?

「疝」という漢字は、
古代中国の漢字辞典『説文解字(せつもんかいじ)』にも
「腹痛」として登場します。
胸やお腹にチクチクと刺すような痛みを表す症状とされています。

ですが、実際はそれだけではありません。
疝癪は、泌尿器系や生殖器系にまで関係する、
もっと広い概念なのです。

肝・膀胱・小腸──疝癪と関わる臓器たち

五臓すべてに「疝」が関わるとされますが、
とくに影響が大きいのが「肝」「膀胱」「小腸」。

なかでも「肝経」は、
筋と生殖器(陰器)を繋ぐ経絡であるため、疝癪に深く関与しています。

男性の場合には、
・鼠蹊ヘルニア
・精巣の腫れ
・前立腺炎
といった症状に表れることもあります。

泌尿器のトラブルは「淋(リン)」と呼ばれ、
それが積もり重なると「癪」へと進行し、
最終的には悪性腫瘍に至るケースもあるとされます。

女性に表れる「疝」──積聚や瘕聚とは?

女性の場合、婦人科系疾患として現れることが多く、
「積聚(しゃくじゅう)」や「瘕聚(かしゅう)」という言葉で表されます。

:お腹の中に触れてわかるようなしこり
  (例:子宮筋腫)

:はっきりとはしないが出たり引っ込んだりする塊
  (例:卵巣嚢腫、ポリープ、乳腺線維嚢胞など)

これらは西洋医学的には、
胆汁や粘液、血液の滞りによって臓器が詰まり、
変性していく病態とも言えます。

「道をひらく」ために

疝癪は、からだの中に「閉塞」や「滞り」が起きているお知らせです。
では、まずどこからその詰まりをほぐしていくか?

ヒントとなる「経絡」はいくつかあります。
• 直感に関わる 肺経
• 未来を見通す力に関わる 肝経
• 決断力に関わる 胆経

そして、これらの道をふさいでいる詰まり(栓)を
「パコッ」と開けるスイッチこそが、帯脈(たいみゃく)なのです。

一年の節目ごとに、クローゼット掃除を

昔から、「疝癪封じ」と呼ばれる風習が各地に伝えられてきました。
本来は、疝癪という病を封じ込めるために
祈祷や護摩焚きなどが行われ、治療や予防を願うものでした。

現代では、病気に限らず、
悪いものを寄せつけないお守りのような意味合いで使われることもあります。

私たちのからだの中にも、
「クローゼット」のように不要なものが溜まりやすい場所があります。

それが、帯脈(たいみゃく)という経絡です。

この帯脈を、一年の節目ごとに整えていくことは、
まるでクローゼットの中を一掃して、風を通すようなこと。

私たちのからだの中のクローゼットを整えるつもりで、
帯脈に意識を向けてみるのがおすすめです。

そんなときに役立つのが、食事の知恵。

食薬メモ:からだにたまった“痰”を動かす食べものたち

🔸 柑橘の皮

しつこい咳や鼻炎、アレルギー体質におすすめ。
肺に溜まる“痰”を取り除きます。
→ フレッシュなみかんや、きんかんの蜜煮が◎

🔸 緑のオリーブ

肝臓と胆のうの働きをサポート。
PMSの時期にも最適。
→ 目安は8粒くらい。

🔸 お粥+黍(きび)

黍(きび)は、肺と脾胃に潤いを与え、
気血の流れをスムーズに整えながら、
水分代謝をサポートしてくれる穀物です。

舌の側面にボコボコと歯形がついている方は、
舌がむくんで膨張しているサイン。

これは体内の水分がうまく巡っていない状態ともいえます。

水分は、多すぎればむくみにつながり、
少なすぎても老廃物を排出できなくなります。

だからこそ、「めぐる水分」=質のよい水分循環が大切。

そんな時に、お粥に黍を加えるのは、からだの巡りをやさしく整えるひと工夫です。

五積(ごせき)に着目して

東洋医学では、
「気・血・痰・寒・食」の5つが滞ることを
「五積」と呼びます。

これが進むと、からだにも心にも渋滞が起こります。

気滞:同じ思考パターンが続いているとき
血瘀(おけつ):同じ経験ばかり繰り返しているとき

「もうこの経験、十分やったな」と思えたら、それは手放しどき。
からだも、過去の記憶も、ちゃんと前へ進もうとしています。

最後に

症状とは、単なる不調ではなく、
今この瞬間の「心とからだのデータ(=意味づけされる前の状態)」です。

「疝癪」のような東洋医学の概念も、
そのデータをもとに意味づけ・解釈された情報のひとつと捉えることができます。

今の時代は、情報があふれかえっているからこそ、
「その情報は、自分にとって本当に信頼できるものなのか?」
という視点がますます大切になります。

その症状は、
誰かの言葉ではなく「本当にあなた自身の声」でしょうか?

いま必要なのは、
からだの感覚に静かに耳を澄まし、見極める力を研ぎ澄ませること。

自分と向き合う時間を、少しだけ持ってあげてくださいね。

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