賢者の石 〜エッセンシャルオイル

アロマ

こんにちは、tete la です♪

ちょっと、ブログをご無沙汰にしている間に、
季節は夏から秋を通り越して、冬へと移り変わっておりました。。

今回は、私たちに香りの楽しみを与えてくれるエッセンシャルオイル(精油)について
歴史や背景などをお伝えしていきますね♪

ところで、皆さまは「香り」って何だと思いますか?
考えたことはあるでしょうか??

太古の時代より、香りは私たちの潜在意識にアクセスするための近道であり、
眠っていた記憶や感情を呼び起こす目に見えず、手に取れない
パワフルで神秘的なものであると考えられています。

香りは神や高次元の存在と交信する手立てとして、
原始的な薫香のかたちで捧げられてきました。

そして、エッセンシャルオイルとは、植物から抽出した天然の液体の中に、
抽出した植物の香り成分が凝縮されて含まれているものです。
植物によって、それぞれ特有の香りと機能を持っています。

それぞれのエッセンシャルオイル特有の香りや機能は、植物が生き延び進化する際に必要なもの、
表現したいものの「種」としての集大成ともいえます。

また、エッセンシャルオイルを抽出する技術は、錬金術(アルケミー)に由来します。
錬金術とは、現代医学や化学の起源ともなる学問です。

中世においてアラビアやヨーロッパの錬金術師たちは、蒸留器などを使って元の物質を変成させ、
金や不老不死の妙薬である「エリクシル」を手に入れようと試みました。
その過程で、実験を重ねる上で、エッセンシャルオイル、蒸留酒、硝酸、硫酸、塩酸、火薬などが
生まれました。

かの有名なニュートンやロジャー・ベーコンも錬金術師だったと言われています。
また、イブン・シーナ(アヴィケンナ)やパラケルススは医師でありながら
錬金術師でもありました。

アリストテレス、ヒポクラテス、ガレノスなどが提唱していた、
「世界は四大元素(火・土・風・水)によりつくられている」という思想があります。
エッセンシャルオイルは、錬金術の過程により植物から抽出された第五元素とみなされ、
四大元素を自由に変成させることができる「賢者の石」と考えられました。

この五つ目の元素は、古代ギリシャ時代には
「エーテル」または「アイテール」と表現されていました。
これは、その物質や生物の持つスピリトゥス(スピリット)のことを表しています。

エッセンシャルオイルは、私たちを身体、心理、感情、精神の各々のレベルで
力強く生き生きと変化させるものとされました。

この賢者の石を作り出す作業を「マグヌス・オプス(Magnus opus)」と言います。
これは象徴的な意味での硫黄と水銀が取り出され、その化合物がニグレド(黒い石)になり、
アルベド(白い石)に変化し、最終的にルベド(赤い石)となり、
神秘的な力を持つ賢者の石になるというものです。
そして、賢者の石を卑金属に加えると、金に変化させることができるとされています。

ちなみに、錬金術の二元質説では、エッセンシャルオイルは “ 植物の魂(硫黄)”にあたり、
植物性アルコールが “ 植物の精神(水銀)”にあたると言われています。

このマグヌス・オプスの過程は人間の内面の変容を促し、霊性の完成を示唆するものでもあります。
カール・ユングは著書『心理学と錬金術』の中で、自らの無意識の中のシャドウ(影)と向き合い、
対決した後に解放され、自分の硫黄(男性性)と水銀(女性性)を統合する過程が
マグヌス・オプスであると説いています。

錬金術師たちの基本理念に「植物から第五精髄(元素)を取り出そうとするのなら、
まず、その植物を生命力のある良い状態で育てていかなくてはならない」というものがあります。

原料から取り出したものは、その原料となる植物のイデア(観念)であり、
その生命力のエッセンスでもあると考えていたからです。
現在の有機農法やバイオダイナミック農法などは、この錬金術師たちの考え方に近いものです。
ひとつひとつの植物がそれぞれの理想的な育ち方・抽出法を経たものでなければ、
本来のエネルギーを発揮できません。
第五精髄までしっかり含まれたエッセンシャルオイルを扱うことで、
その植物の生命力を私たちに取り入れ、健康や美容、精神のより良い進化・変容が
期待できるのです。

最後に、錬金術の奥義書である『エメラルド・タブレット』に書かれた文章をご紹介します。
著者はヘルメス・トリスメギストスとされています。

これは、大宇宙と小宇宙という宇宙と人間のつながり、万物のつながりを示唆しています。
さらに、錬金術のエッセンスを集約したものと考えられています。

これは真実である。嘘偽りは一言も無く、完全なる確実な真実である
上なるものは下にあるものの如く、下にあるものは上にあるものの如し
このようにして “大いなる存在” の奇跡は成される
万物は“大いなる存在” の媒介を通して “大いなる存在” から生じる
ひとつのものが適応することにより万物が創り出される
その父は太陽で、その母は月である
風はその腹に宿し、地はそれを養う
それは宇宙すべての奇跡を生み出す
その力は地に転じるときに完成する
火から地を分け、粗野なものから精妙なものを分ける
穏やかに、そして崇高なる巧妙さとともに
それは地から天に上り、再び地に降りる
そして上と下の力を結合する
このように天地万物の栄誉を成し遂げ、すべての不明瞭なものは消え失せる
これは万能の力で精妙なものすべてを征服し、形あるものすべてに浸透する
このように世界のすべては創られた
そして驚くべき錬金術が出来上がった
この宇宙通念の三原質の主であるが故に我は“三倍偉大なヘルメス” と呼ばれる
ここに太陽の業について語るべきことを締めくくる

書籍『Aromatic Alchemy』(フレグランスジャーナル社)より引用



エッセンシャルオイルは液体なのに、「賢者の石」だなんて、面白い表現ですね♪
古今東西、ひとつひとつの事柄の基盤には、いろいろな哲学的・思想的要素が
しっかりとあるものですね!
その先につながっているところは今も昔も同じなのかなとも感じます。

ではでは、長々とした文章にお付き合いいただきありがとうございます。

それでは、ごきげんよう♪


★東京 麻布十番 の 鍼(はり)とアロマテラピー の 小さなサロン tete la より★

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