自己の内面を知る

EIGHT EXTRAORDINARY VESSELS

こんにちは。tete la です。

『PSYCHO-EMOTIONAL PAIN and the EIGHT EXTRAORDINARY VESSELS』
by Yvonne R. Farrell の要約。

第一部の第7章。
自分メモシリーズ。

第7章 蹻脈
別称:陰陽の踵の脈、陰陽の歩きの脈、陰陽のエレベーター

陰蹻脈と陽蹻脈はどちらも、足首の領域で発生し、目の内眼角の睛明(UB-1)で交差します。
それゆえ、蹻脈を視点と立ち位置の経絡と見なすことができます。
個性化の過程で、私たちは両親や家族に守られた安全な状態から離れ、
個人として外の世界に出ていきます。
そのようなとき、私たちは自分を取り巻く世界に対して独自の見方を開発していきます。
私たちが世界を見るレンズは、私たちが自分自身をどのように捉えているかに基づいています。
私たちは、母性の基盤(任脈)の絆や支配から離れて、
自分自身の自己感覚と価値観を確立し始めるときに、自分自身の感覚を調べることをしていきます。
私たちはその視点に基づいて自分の周りの世界を見始めます。
私たちは、個々の大人の目を通して世界と自分自身を見る機会をもちます。 

陰陽の蹻脈は、洞察と探究の関係のバランスを取ります。
維脈(陰維脈と陽維脈)は、最初の起源(衝脈、任脈、督脈)からの資源を
年を重ねるにつれて、どのように使用するかについて担っています。
一方、蹻脈は、今ここで、現在、これらの資源をどのように使用するかを担っています。
蹻脈は、私たちの資源を日々適切に使用する能力を統治します。
維脈は私たちが時間の経過とともに発生する変化や移行に対処する方法であり、
蹻脈は私たちが現在、自分の身体と自分の周りの空間をどのように占有するかについて担っています。
蹻脈は目とのつながりを持っており、目を開閉することで
陰と陽の毎日のサイクル(昼と夜)を管理するのにも役立ちます。

陰蹻脈

陰蹻脈は、自分自身を照らす機会を生み出します。
それは私たちの視野を内側に向け、自分が何を感じているのかを知ること(self-knowledge)、
なぜ自分がそのように感じているのかを知ること(self-awareness) 、
意識を拡大することを可能にします。
要するに、私たちに深い洞察の能力を与えてくれます。
これは、現時点で自分自身を明確に見る能力と、自分が見ているものを心地よいと感じる能力です。
この経絡の足元(然谷/Ki-2、照海/Ki-6、交信/Ki-8)も、
自分が生きていこうと選択した社会で、この瞬間に立つことを可能にします。

陰蹻脈は、陰維脈と同様に、原初の陰(任脈)の系統です。
自己愛や自己への感謝を教えられていない場合、自分自身を「見る」見方に影響が出ます。
任脈がケアされないまま損傷を受けたり、母親が強迫するような育て方であったために
任脈のケアが妨害されたりした場合、それは私たちが社会で取る「立場」に影響してきます。

任脈が私たちに自己愛の感覚を提供しなかった場合、陰蹻脈は停滞し始めます。
この停滞は、自分自身に満足していないという感覚を示す可能性があります。
停滞がひどい場合、私たちは自己嫌悪に圧倒されます。
たとえそれが厳しくないとしても、自分が本当に価値があるとは信じていないので、
社会における自分の場所は、自分が価値があることをさまざまな方法で
無意識に実証する必要性に駆られます。自分の価値を外部に探し求めます。

陰の停滞

生理学的に、陰蹻脈は腹部の停滞を治療するために使用されます。
陰の停滞やうっ滞(血、痰、湿気)を治療します。
陰蹻脈の病理として、腹部に触知可能な腫瘤がある、
もしくは腹部に機能を妨げるうっ滞がある可能性があります。
例えば、親などから言葉と行動の両方で何度も何度も
「あなたは足りていない」と言われ続けたとします。
子供の頃から、単に存在しているだけで間違っていると感じさせられていたとします。
自分が愛し、信頼し、賞賛する親や周りの人などの言葉や行動から来る感情を、
生き残るために、それらの感情を自分の心や、自分の意識から遠ざけようとするかもしれません。
それらの感情が意識に戻らないようにするために、それらを陰(血と体液)で包みます。
そうすれば、自分の内面を見たとき、それらの感情は陰に覆われているので、
すぐに傷つくことは少なくなります。
陰のベールは傷の強さをぼやけさせて和らげ、私たちが生き続けることができるようにします。

もちろん、そのように距離を置くことには代償を伴います。
この自己保存メカニズムによって引き起こされる滞りや腫瘤は、
身体的に痛みを伴う可能性があり、臓器機能を混乱させる可能性があります。
また、資源の面でも代償を伴います。
陰のベールを維持するには、多くの気と陰が必要です。
陰蹻脈が停滞している人は、子宮筋腫、ヘルニア、腹部および腰痛、生殖器の痛みなどの症状を
発症し、寄生虫感染症(Gu)に対しても脆弱です。
中医学の観点から、寄生虫は冷湿(陰)環境を好むことがわかっています。
心理的感情的な観点から、「足りていない」という感情は、
寄生虫が定着しやすい「寄生虫の棲家としての空間」にあたる真空を作り出します。

陰蹻脈と内部の位置

陰蹻脈の経路は、照海(Ki-6)と然谷(Ki-2)がある足の内側のアーチから始まります。
健康な土踏まずは、良好な構造的整列につながり、それが筋骨格系の完全性を維持します。
土踏まずのバランスが取れていて安定している場合は、
膝から腰、背骨、頭に至るまで、すべてが安定性、バランス、動きやすさを助けるように整列します。
そして、人生における健康的な姿勢は、
現在の自己の完全性を維持する内部の整合につながると言えます。
自己受容がしっかりとできている場合、私たちは自分たちの生活に意味があることを知り、
より容易に社会での自分の立場を理解できます。
自分のことを受け入れる人々を自分の生活に引き付け、
誰からも圧迫されたり負傷したりすることはないと信じることができます。
この自己受容は、信頼があり明確な洞察のできる場所で外の世界と交渉することを可能にします。

自分の内側と連携しているとき、私たちは今ここで正しい行動をとることがはるかに容易になります。
陰蹻脈が過剰(停滞)の状態にあるとき、陽蹻脈は不足しています。
これは、蹻脈の最も顕著な筋骨格症状です。
脚の内側の側面に緊張またはけいれんがある場合(陰蹻脈の過剰)、外側の側面に弛緩があります。
外側面(陽蹻脈の過剰)に緊張があると、脚の内側面に弛緩が生じます。
陽蹻脈が運動を支配するため、陰蹻脈の緊張または停滞は、
その瞬間に行動を起こすことを非常に困難にします。
この状態で行動を起こす場合、その行動は本来の自分自身と一致していないことがよくあります。 

陰蹻脈と離脱

陰蹻脈に停滞があるとき、私たちは蓄積されて圧迫されていると感じます。
私たちは過去の傷とそれに伴う価値のない感覚に圧倒されています。
自分の取り巻く世界から引きこもりたいと思うかもしれません。
陽蹻脈が外に向かって広がり、世界を探検したいという健全な願望は、
陰の停滞によって妨げられます。
陰の停滞は目に影響を及ぼし、目が重くなり、目を開くのが困難になります。
より多くの睡眠が必要になり引きこもりになります。
しかし、その睡眠によってリフレッシュされることはありません。
眠っているときは、傷つけられないので、自分の人生から距離を置いて寝ています。

ナルシシズムと陰蹻脈

この内向きで世界との関わりから離れる動きは、
場合によってはナルシシズムとして現れることもあります。
自分自身に過度に集中するようになり、
自分を取り巻く世界で自分の場所を見る能力を制限するようになります。
自分たちが思う宇宙の中心に移動し、他の人と関わる必要性を遠ざけるようとします。
他人のニーズを無視して、自分のニーズや欲求に取りつかれるのかもしれません。
それが「私のすべて」になります。
そして、陰に覆われるようになり、自分自身をより良く感じさせたいという願望において
自分の存在についてどれほど破壊的になっているのかわからなくなってしまっています。

陰蹻脈と光

陰蹻脈の可能性は、自分の存在をより完全に受け入れることを学ぶことができるように、
自己の最も暗い隅に光を当てる能力です。
闇が支配するとき、私たちは無意識のうちに生き、
まだ完全に受け入れることができていない自分自身の部分を不本意にも犠牲にしています。
もし自分が利己的である傾向があることを知らなければ、
他の人が自分のことを利己的だと非難することに
ショックを受けたり、傷ついたり、失望したりします。
もし、自分の中に深い空虚感や孤独感を抱いていることを知らなければ、
他の人が自分のことを過度に困窮していると示唆しても、理解できません。
自分の行動がその孤独によって動かされていることに気付かないでしょう。

私たちは見えないものを変えることはできません。
自分が誰であるか自分の存在がわかれば、選択肢が生まれます。
自分が誰であるかという各側面が照らされているので、
私たちはその側面から自分の生活を送ることや、
より完全に統合された場所から生活を送ることを選択するかどうかを決めることができます。
陰蹻脈が提供する光を通して、自分が誰であるかという暗い側面を見る選択肢が生まれます。
自己の側面を見ると、より暗い側面が自分の目的の追求に役立つかどうかを選択することができます。
もし、それらが有用ではないという見通しの後、自分で決定した場合、
私たちは意識的に自己の成長をサポートする美徳や行動を開発し発展し始めることができます。
私たちが自分自身について学ぶほど、私たちにはより多くの選択肢が生まれます。

真実を飲み込む陰蹻脈

陰蹻脈の流注は、目(睛明/UB-1)に向かう途中で喉(欠盆/St-12および人迎/St-9)を通過します。
自分の存在の深い窪みを調べるとき、
自分が見ているものの真実を飲み込むのが難しい場合があります。
生理学的には、嚥下困難、喉の緊張や痛み、甲状腺腫、
首や鎖骨の領域の慢性リンパ腫として現れることがあります。
これは身体が陰を使って痛みを和らげる方法の例です。
喉にこの種の陰が蓄積するため、陰蹻脈を治療することは、
自己受容に苦しんでいる間をサポートする方法です。
この種の緊張は、幼少期に「子供は口答えするな」と言われていたり、
何について話しているのかわからないと何度も何度も言われたりする大人によく見られます。
通常は無意識のうちに、自分が言うことには価値がないと言われたことを思い出すのを恐れて、
話すことを控えます。これにより、喉の領域に緊張が生じます。
彼らにとって自分の真実を話すことや自分自身のために立ち上がることは非常に難しいのです。

自殺と陰蹻脈

時に、痛みと苦しみは陰蹻脈が吸収したり覆ったりすることができる許容範囲以上の場合もあります。
この痛みに対処する方法として、自殺傾向に向かわせる可能性があります。
その時に自分の中を見ると、暗闇、苦しみ、絶望感しか見えず、
死は安堵の道のように見えるかもしれません。
何年にもわたるいじめの後に自殺を試みる若者もいます。
毎日他人の言葉や行動に打ちのめされ、やがて自殺を実行可能な自己防衛と見なし始めます。
彼らは自殺こそがを苦痛を終わらせるために残された唯一の選択肢と見なすかもしれません。
虐待は非常に強大なため、痛みを和らげるのに十分な陰を生成できないので、
すべて終わらせることを決定し、タスクを完了するのに十分な陽を集めることに取り組み始めます。
自殺傾向のある人の陰蹻脈を治療することは、
彼らがこの瞬間を生き残ることができると信頼するのを助けることができます。
つまり、物事は絶望的ではないということです。
彼らに自分は価値がないわけではないこと、
そして自分を愛する人々がいるなかで生活していることを知るのを助けることができます。
最初から適切なメンタルヘルスケアをせずに自殺傾向の患者を治療するべきではありません。
陰蹻脈を使って自殺傾向のある患者の行き詰まりを解消できれば、
彼らが受けているメンタルヘルスケアの治療プロセスに役立つ可能性があるということです。
彼らが生き続ける選択をし、そして意味のある人生を送ることによって
自分はいじめを打ち負かすのに必要なものを持っているんだという
内面的な感覚を与えることができるかもしれません。

防御と体重増加

肥満は非常に複雑な健康上の懸念です。
肥満患者は、単に食べ過ぎているだけというわけではありません。
ほとんどの肥満患者は、多くの要因によって現在の状態に陥っています。
その要因は遺伝的影響、ホルモンのバランスの崩れ、ライフスタイルの問題、
そして根深い感情的要素かもしれません。
肥満患者が健康を改善するためには、これらすべての問題に適切に対処する必要があります。
これは非常に困難な場合があります。
なぜなら、体脂肪が陰を停滞させており、陰を停滞させることが目的を果たしているからです。
それは他人の判断に対する防御と価値のない深い感覚をもたらします。
社会は一般的に肥満の人には親切ではありません。
肥満の人の苦しみには思いやることはほとんどありません。

太りすぎたことがない人には直感に反しているように見えるかもしれませんが、
肥満体の人は、サイズが大きくても実際にはその人そのものは見えにくくなります。
ほとんどの人が肥満体の人を見るときに見ているのはその人ではなく、
陰のプロテクションを見ているのです。
そしてそれが防御部分であることを知りません。
他の人に外見を判定されるのは苦痛ですが、
この視認性の低下により、本人としては実際にはより安全で
露出がなく、より晒されないと感じています。
体重を減らすことは保護を失うことです。
減量により、視認性が向上し、脆弱性が高まります。
肥満体の患者は、その脆弱性に関連する感情について働きかける必要があります。
他の人が自分を見て判断するとき、自分自身のイメージを保持できるように、
自分の存在が心地よいものであることを学ばなければなりません。
肥満体の人が自己受容を達成できない状態で、体重を減らした場合、
不快感に対する理由づけとして、リバウンドすることがよくあります。

肥満体の人は自分が太りすぎであることを自覚していることは間違いありません。
他の人に言われなくても自分が体重を減らす必要があることはわかっています。
陰蹻脈の治療は、このような肥満患者が自分自身をより明確に認識し、
自分という存在を受け入れるのに役立ちます。
これらの治療法は、自分自身は現在の身体的状態よりも
はるかに優れていることを信頼するのに役立ちます。
自分が愛に値し、優しさに値し、セルフケアに値すること、
そしてこれは体重に関係なく真実であることを認識することを学ぶことができます。
これらの治療法は、自分を取り巻く世界でより安全に過ごせると感じる能力が高まるように、
自分自身を十分に信頼するのにも役立ちます。防御の必要性が少なくなります。

陰蹻脈の光は、より強く、より弾力性があり、より私たちの精神と目的に沿った
自己の内面の洞察力を育む助けになります。
そして、他の人の判断を克服し、その結果、防御の必要がなくなります。

陰蹻脈の流注

流注は、然谷(Ki-2)、照海(Ki-6)、および交信(Ki-8)のある足から、
欠盆(St-12)および人迎(St-9)のある喉までをすすみ、睛明(UB-1)で目に上がります。
ここから脳に入り、ある文献では、風池(GB-20)で現れ、陽蹻脈に再び接続すると言われています。
流注の下部は、内部の整合性と健康的な姿勢を発達させる上での土踏まずの重要性を示しています。
上部は、自己感覚を発達させる上での洞察の重要性を示しています。

陰蹻脈によって治療される一般的な状態
・目の疾患
・不眠症(目を閉じたい)
・腫瘤を伴う腹痛
・脚外側に弛緩があり、脚の内側に痙攣収縮がある筋萎縮症候群
・過剰に伴う尿の問題(湿、気滞および血滞)
・産科の問題:長時間の分娩、胎盤貯留および分娩後の片側腹痛、超過の問題、特に血滞
・下焦の閉塞:Shan conditions、帯下、生殖器の痛み、下腹部の痛み
・夜間てんかん

Shan conditions:一般的にヘルニア障害を指す。
外性器(腫れ、痛み)、および停滞の問題(便秘、排尿困難)を呈する腹痛を伴う問題。

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